イギリスで法人つくってみた
会社員やりながらちまちまと副業の Web サイト開発でお金稼いでたんだけど、まあまあ売上が立ってきて個人事業でやるには税率が高くなりすぎる見込みとなったので、法人を作ってみた。
会社員なので親名義で合同会社を作ろうかなと思っていたんだけど、実家で登記するのも申し訳ない(税務調査とか万が一ある場合には迷惑掛かりそう?)のと、海外向けにやってる SaaS もどきみたいなのが最近ちょっとした売上が立っていて、Stripe を使って決済を処理している都合海外に事業体があったほうが良いなと思ったので、海外で設立することにした。
なんでイギリス?
Stripe に対応してる国から選んで、一番会社設立費用が安そう&英語が通じる&税金がそこまで高くないところを選んだつもり.
Stripe は決済自体は非制裁国以外ならどこでも受け付けているんだけど、事業体で登録する場合には意外と門戸が狭い。
せっかくならタックスヘイヴンとかで設立するのも人生経験として面白い(実務面で大変困ることになりそうだが)とは思ったけど、そもそも対応してなかった。
で、イギリスの場合、次のようなメリットがあるなと考えた次第。
Stripe の運用コストがそこまで大きくない
イギリス法人の場合基本的に GBP 建てで資金管理することになるけど、Stripe の場合 GBP は出金は手数料不要かつ決済日から出金日までのタイムラグも少ない。
これがアメリカドルの場合だと、出金手数料で 1%持っていかれる上、ACH 送金になるので着金までに 3 営業日くらいかかる。
あと、ちゃんと W-8 BEN を提出しないといけない。別に出せば良いんだけど、なんか仰々しくてそこまでやりたくないというのが本音。
イギリスの場合はそういった書類は不要(租税条約に関する届出は場合により必要)
設立にあたって現地に行く必要がない&設立までが鬼早い
設立にあたっては現地に行く必要はまったくない。まあ、どこの国でもエージェント通せば行く必要ないと思うけど。
また電子化が進んでいるようで、パスポートの写真だけエージェントに送れば、1 営業日で登記が完了する。
税率がそこまで高くない
** 税金エアプなので間違ってる可能性が高いので注意
イギリスの法人税率は、5 万ポンド以下の所得には 19%、5 万ポンド以上 25 万ポンド以下の所得には Marginal Relief によって 25%未満の率で課税される。
5 万ポンドがだいたい日本円で 950 万円くらいなので、日本の軽減税率の基準とあんまり変わらない。
5 万ポンド以上の部分についても軽減税率が適用されて、私の課税所得(130,000 GBP ~ 150,000GBP)の実効税率としては 21~22%くらいで収まりそうなので、恐らく日本の法人税率とほとんど遜色がないと思う。
それに加えて、イギリスの場合、地方法人税や法人事業税が存在しないので、VAT を除けば上記がそのまま実効税率となる模様。
日本の場合、結局地方法人税などを加えると実効税率は 30%近くになるので、おそらく 5%くらいは税金がお安くなるのではないかと思っている。
ちなみに、現状(個人事業主)で続けると実効税率 40%以上が見込まれるため、純額で半額くらいに圧縮できる見込み。
私は法人に蓄財して基本的に役員報酬などは一切受け取らないつもりなので、個人としての所得税などは申告は不要(多分)。
じゃあお金どうすんのって話だが、会社名義で作った Wise の口座で投信や債券で運用しつつ、少しずつ配当として受け取ろうかと考えている。(未上場企業の配当は総合課税で累進税率が適用されるため、他の所得と調整する必要がある。)
役員報酬とかで抜けたら経費にもなるし良いんだけど、それは社会保険関係が大変面倒なことになるようなので、コンサルタントを付けるならまだしもお一人様会社では厳しいのかとも思う。
いま、イギリスは政策金利がものごっつ高くて、普通預金でも税引前 4.2%くらいの利子がつく。実はアメリカよりも金利が高い。
多分あと 1,2 年の話だとは思うけど、スタートダッシュボーナスとしてはかなりおいしい。
デメリットはあるのかな
もちろん、デメリットについても検討する必要がある。検討するうえで考慮したのは次のような事項。
・ふるさと納税ができなくなる
個人事業主であればふるさと納税で飯買ったり出来たけど、イギリス法人だとそんなものはない。まあ企業版ふるさと納税も大して変わらんので、そこまで大きな問題ではない。
・経費に計上できるものが限られてくる
日本の法人が節税方法としてよく勧められている、社宅を作って経費にするというやつ。
そもそも海外法人と賃貸契約を結んでくれるような奇特な大家は存在しないと思われる。
ちなみに外国法人として日本で社用車を購入することはできるらしい。面倒くさそうだけど。
自分の場合は事業に車がいらんので関係ないけど。
・為替リスク
殺人通貨グレートブリテンポンドで所得の大半を蓄財することになるので、そこはリスク。
登記してみた
登記にあたって必要なものは、日本のパスポートと設立費用(最安で 2 万円くらい、僕は税務相談付きの 6 万円くらいのところにお願いした)、居住地証明で公共料金のレシート。
公共料金のレシートは日本語のもので何ら問題はない。
で、たいていの法人登記エージェントはバーチャルオフィスなどの住所も適当にこしらえてくれるので、現地の住所も必要なく登記が完了する。
登記が完了したら Certificate of incorporation をもらって完了。
法人番号が記載されているので、これをもとに銀行口座の開設であったり、Stripe への法人登録が可能となる。
かかった総費用
日本で法人を設立する場合、株式会社で約 20 万円くらい、合同会社で約 10 万円くらいが相場の認識。
今回設立した法人は私1人が代表取締役かつ唯一の株主となるプライベートリミテッドカンパニー。
それで必要となった費用についてだが、
- 登記費用・エージェントへの代行費用・バーチャルオフィスのレンタル代: 250 GBP
- イギリスの電話番号(必要なかった): 2.99 USD / month
- 銀行口座の開設費用(Wise): 45 GBP
以上で、2025/02/01 時点の為替レートで約 58000 円。
めちゃくちゃ安いので、信用力を必要とする新興国のベンチャー企業などは手始めにイギリス法人を作ることもあるらしい。
2025 年から英国会社法が改正されて登記情報のある程度の非公開化もできるようになるので、副業とかやってる人はみんなイギリスで法人、作ろうね!